|ファンレポーター しばざき さん
しばざき さんのプロフィール 『野球をやっている国の言語』という理由から、大学時代に第二外国語で韓国語を選択。以来、仕事も結婚も野球も韓国と深く関わっています。ひいきチームはトゥサンベアーズ。将来の夢は『定年後にトゥサンの年間指定席を購入すること』です。大阪府吹田市出身。右投右打。
しばざき さんの最新投稿記事
|トゥサン対KIA
観戦記(4/26 チャムシル球場) 2015.6.2 up
→前回投稿 今年のトゥサンは期待できるか? 2015.3.23
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エースのニポトゥ(ニッパート)投手がけがの影響もあって、まだ本調子ではなく、左の先発として期待されていたイ・ヒョンスン投手もオープン戦でのけがで戦列を離れ、新外国人ラッツ内野手も泣かず飛ばず(その後、5/4に解雇)…。NAVER(ネイバー)ニュースの見出しだけを見ていると、『今年もアカンかなぁ』とも思えてくるのですが、意外と持ちこたえている…どころか、かなり善戦しているのが、ここまでのベアーズです。
チームへの影響が大きい選手が負傷しているのに、しっかり貯金を持って首位のサムソンを僅差で追いかけているという展開に、対戦カードが一回りもしていない段階にも関わらず、『これが実力!これがハッスルDoo野球!負傷者が帰ってきたら、まだまだ上に行くぞ』とファンも盛り上がってきました。
リリーフ投手に不安があるにも関わらず、接戦に持ち込まれても、粘って勝ってしまう。必勝パターンと言えるような勝ち方は確立されてはいませんが、今季は、序盤からトゥサンらしい、ベンチ全員参加型の『最後まで諦めない野球』が見られるようになってきました。
象徴的なのが、4月18日のロッテ戦でした。先発チャン・ウォンジュン投手が5回5失点。しかしその後を4人のリリーフ投手が4回無失点で繋ぎました。打線は8回まで沈黙するも、終盤、4点差をひっくり返してのサヨナラ勝ち。試合を決めたのは、ラッツ選手の負傷で出番が回ってきたチェ・ジュファン選手の一発でした。この一打はチャンスをしっかり掴んだことを印象付けるものとなりました。
トゥサンベアーズの本拠地、ソウルのチャムシル球場(写真:ストライク・ゾーン)
その翌週に行われた24日からのKIA戦。この対戦では2日続けての延長戦という熱い戦いが繰り広げられました。
1勝1敗で迎えた26日、この日の先発投手は、9日のネクセン戦でノーヒットノーランを達成したマヤ投手でした。マヤ投手は7回を投げ、失点は4回に与えた3点。一方の打線は、KIAの若手投手ホン・ゴンヒ投手をなかなか打ち崩せません。
7回表を終わって1-3でKIAがリード。KIA応援席からは『南行列車』の大合唱が響き、一塁側には重い空気が漂います。しかしベアーズは7、8回に1点ずつ取って同点に追いつきます。8回の同点打は、足の状態が良くない中でチームを引っ張るキャプテンのオ・ジェウォン選手が放ったもので、球場の雰囲気が徐々に変わり始めました。
8回からベアーズのマウンドには高卒ルーキーのナム・ギョンホ投手が上がり、怖いもの知らずの直球勝負で打者5人から3奪三振の好投。一方のKIAも、前日に2イニング投げた米・マイナー帰りのユン・ソクミン投手を9回2死から投入し、試合は3-3のまま、延長12回に突入します。
12回表をハム・ドクチュ投手が3人で片付けて、ベアーズの負けがなくなった最後の攻撃。1死後、途中出場のチョン・ジンホ選手が三塁打を放ちます。続くバッターは8回に同点打を放ったオ・ジェウォン選手でしたが、敬遠で歩かされ、1死一、三塁。
ここで代打に起用されたのが、今季、兵役から戻ったユ・ミンサン選手でした。プロ初ヒットが出るか期待が懸かる中、浅いフライがフラフラとセンターへと上がりました。センターはつかんでホームへと素早く返球。タッチアップしたチョン・ジンホ選手とのクロスプレーは、アウトかと思われましたが、捕手が送球を取れず、セーフ。4時間5分の熱戦は、ベアーズのサヨナラ勝ちとなりました。
スタンドでは見知らぬ者同士が抱き合ったり、ハイタッチをしたりと、ポストシーズン並みの興奮でした。
この週のソウルは春というよりも、初夏を思わせる好天が続き、私が足を運んだ土日は両日とも、満員札止め(生ビールもたくさん売れたことでしょう!)。どちらも最後までハラハラドキドキする試合展開でした。
昨年は、あまり味わうことが出来なかった、この緊張感。今年は、秋まで楽しませて欲しいものです。
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・投稿記事の内容はファンレポーター独自の考えにおまかせしています。
※外国人選手の名前はハングル読みを基本にし、( )内にカタカナ読みを併記しています。なお、NPB在籍経験のある選手に関しては、NPB登録時の選手名を掲載しています。
◆参考項目 ・トゥサン ベアーズ紹介
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室井昌也/韓国野球委員会承認) をどうぞ!2015年版は全国有名書店などで4月下旬発売です。 |